LOST MUSIC〜消えない残像〜
胸の中で渦巻く様々な想いを消し去るように、手の甲で目頭の熱いものを拭う。
ぐちゃぐちゃになった想いは肺をも締め付けて、俺は背にある扉に体を預けた。
ふと、目の端に映りこんだのは、暗い部屋の中で侘しく光る七時をさす時計の針。
千秋がVegaのページにいけと言った時間。
何で今更、星羅のケータイ小説を……。
思い起こせば起こすほど、千秋の言葉が、疑問が、脳裏を占拠した。
気が付くとケータイを手にとって、期待を隠せない指が今にも確かめようとしてる。
願いと諦めが入り交じり、最後のボタンを力を込めて押す。
そして瞳を開けば、見たこともない作品のタイトルがあった――。