LOST MUSIC〜消えない残像〜
腕は衝動的にギターを抱え、体が勝手に動きだす。
暗闇の空間の扉を開け放って、俺は飛び出した。
――光に向かって――。
星羅に向かって――。
何か言うおふくろの声は遠く霞んで、俺はただ一つの場所を目指す。
もう逃げない。
目を逸らさない。
ただ、今あるのは、ギター一本と俺の体。
そして、星羅に会いたいという気持ちだけ――。
他には何もいらないんだ。
理由も言い訳もいらない。
最初からこうしてればよかったんだな。
――俺は、星羅に会いたいんだ。