LOST MUSIC〜消えない残像〜


視界に広がるのは、満天の星空――。


そして、昔から佇む成長した桜木。


深い深い藍色の夜空に浮かぶ無数の星は、あの日々と変わらぬ優しい光を放つ。


星羅と二人見上げた、美星丘の星空だ――。


何で俺はこんなにも星が輝いてることに気付かなかったんだろう……。


こんなに綺麗なのに。


星は幾千も浮かび、みんなそれぞれが、自分自身の光で輝いている。


小さかったり、大きかったり、白や青みがかった光。


どれ一つとして同じ光はない、この星に生きる人間と同じように。


俺はその中から、たった一つの星を見つけだす。


ベガを、星羅の星を――。



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