LOST MUSIC〜消えない残像〜
少女は天真爛漫な笑顔で、長い髪を宙に舞わせながら元気よく一礼する。
……錫代……翠月……。
……何で……。
その屈託のない笑顔も、華奢そうな細い体も、しなやかで長い栗色の髪も、纏っているみんなを照らすような明るい雰囲気も、全て星羅そのものなのに――。
……何で、こんなに星羅に――?
もう何が何だかわからない。
頭は別人だと認識しようとしているのに、胸はちっとも理解しようとしないんだ。
少女を目にすればするほど星羅に見えて、星羅への想いが破裂しそう。
まるで、それをゆるさぬように、縄で締め付けられるような痛みが走った。