LOST MUSIC〜消えない残像〜


少女は天真爛漫な笑顔で、長い髪を宙に舞わせながら元気よく一礼する。


……錫代……翠月……。


……何で……。


その屈託のない笑顔も、華奢そうな細い体も、しなやかで長い栗色の髪も、纏っているみんなを照らすような明るい雰囲気も、全て星羅そのものなのに――。


……何で、こんなに星羅に――?


もう何が何だかわからない。


頭は別人だと認識しようとしているのに、胸はちっとも理解しようとしないんだ。


少女を目にすればするほど星羅に見えて、星羅への想いが破裂しそう。


まるで、それをゆるさぬように、縄で締め付けられるような痛みが走った。



< 26 / 299 >

この作品をシェア

pagetop