LOST MUSIC〜消えない残像〜


――その少女の言葉にまたも心臓が大きく跳ねる。


俺は驚いて少女の瞳をまじまじと見つめた。


――奏斗――。


星羅の花が咲いたような輝く笑顔が――、大事に紡がれる音の響きが――、ぴたりと重なる。


……聞きたくない聞きたくない……。


もう一度聞きたかった星羅の声なのに、耳を塞ぎたくなる。


それは星羅じゃないから?


それとも星羅をおそれているから……?


何でこの少女は俺を掻き乱す――?


「……ねぇ、何で……奏斗を知ってるの?」


千秋はかぼそい声でおずおずとその少女に問い掛けた。



< 28 / 299 >

この作品をシェア

pagetop