LOST MUSIC〜消えない残像〜
きっと、これからだって、喜びがあれば苦しみもあって当然だと思う。
だけど、不思議と怖くない。
今までの俺なら立ち止まることを選んでた。
でも、今は一歩でも前に進みたい。
多分そう思えるのは、少し前を歩くこいつらと、最高の道標があるからだろうな――。
俺はすっかり慣れきった坂を歩きながら、前にある雅臣と千秋と智也の背中をそっと見つめた。
そして、隣には小さな歩幅で歩く錫代がいる。
「……ありがとうな、錫代」
俺は聞こえるか聞こえないかの小さな声でぼそりと呟いた。