LOST MUSIC〜消えない残像〜


少女は戸にぶつかって赤くなった額を隠すのも忘れ、宝物を前にした子供のように一段と瞳を輝かす。


「先輩方のこと憧れだったんです!」


そう話す瞳は眩し過ぎて、今の俺には直視できなかった。


多分理由は二つ……。


星羅の瞳に似すぎているから。


もう一つは……、汚れを知らない馬鹿みたいに真っ直ぐだった過去の俺等を見てるみたいだったから……。


――もう俺にはそんな目できない。


「去年の学園祭で先輩方、Stellarのライブを見たら、かっこよくて忘れられなくて――!メロディと一つになった奏斗先輩の歌声に感動したんです」


……俺の歌か……。



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