LOST MUSIC〜消えない残像〜


この街で一番空が近い場所。


俺は優しく流れる風に包まれながら、瞳に目一杯、瞬く星をうつした。


星羅を――、今一番近くに感じる――。


「ここから――、だな」


ふいに、隣から聞こえたのは落ち着いた雅臣の声。


雅臣は星から目を逸らさずにただ見つめていた。


その瞳は、その声は、まるで星羅に向かって話しかけるように穏やかだった。


「ああ、俺等はこれからだ――」


俺も星を見つめて、静かにこたえる。


雅臣に、星羅に、自分に語り掛けるように――。



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