LOST MUSIC〜消えない残像〜
ケータイを開けば、暗い部屋の中、眩しいディスプレイの光があの頃の二人を映し出す。
雪みたいに白い肌に、風にそよぐ栗色の長い髪。
見た目は大人っぽいくせに、子供みたいな無邪気な笑顔を浮かべるんだ。
その隣で俺は照れ隠しの仏頂面。
……星羅にせがまれて撮ったツーショット写真が、今じゃ俺と星羅が一緒にいた証になるなんて思いもしなかった……。
星羅……。
ふいに星羅の笑顔がぼやけて、俺は力なく皺くちゃなシーツの上へとケータイも身も放り投げた。
星羅の笑顔がない今、俺はもうヌケガラだ――。