LOST MUSIC〜消えない残像〜
聞き飽きた号令が教室内に響けば、皆意志がないように同じ動作をする。
それはまるで、心を持たないロボットのように。
日常なんて、こんなくだらないことのリピートにすぎないんだ。
もちろん自分が例外などと言う気はない。
間違いなく俺もその一人で、何も考えず事務的に荷物を鞄に詰めて帰路に着く。
多分俺は、ここにいる誰よりもそういう存在なんだろう。
……でも、そんな俺の思考を狂わせる者が二人いる。
一人は、星羅。
もう一人は――
「待ってください、奏斗先輩!」