LOST MUSIC〜消えない残像〜


聞き飽きた号令が教室内に響けば、皆意志がないように同じ動作をする。


それはまるで、心を持たないロボットのように。


日常なんて、こんなくだらないことのリピートにすぎないんだ。


もちろん自分が例外などと言う気はない。


間違いなく俺もその一人で、何も考えず事務的に荷物を鞄に詰めて帰路に着く。


多分俺は、ここにいる誰よりもそういう存在なんだろう。


……でも、そんな俺の思考を狂わせる者が二人いる。


一人は、星羅。


もう一人は――


「待ってください、奏斗先輩!」



< 41 / 299 >

この作品をシェア

pagetop