LOST MUSIC〜消えない残像〜
「なら、諦めろ。あんたが言う夢とやらはもうないから」
夢なんて水の中の気泡のようなもんなんだ。
あっけなくはじけ、跡形さえ残らない……、所詮そんなもの……。
「嫌です――!」
突然の鮮明な言葉に、俺ははじかれたように目を見開いた。
「私、そんな中途半端な気持ちじゃありません!絶対に諦めません」
子供が駄々をこねているようにも見えるが、純粋で芯の強さが窺える。
曇りのない瞳は星羅そのもので、まるで俺の心を全て見透かしそうだった。
怯えるように震える俺の心臓音。
怖いんだ……、星羅に心を読まれるのが。