LOST MUSIC〜消えない残像〜
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俺は頬杖をつきながら、窓という額縁に切り取られた外の風景をぼんやり眺めてみた。
この一春を生き急ぐようにただ花をつけ散らせる桜。
能天気に青い空。
気ままに浮く雲。
何の面白みもありはしない。
それなのに何で、つまらない景色に目をやっているのかといえば、今朝の桜の木の下を確認するため。
もちろんあの木の下には、誰もいないし、何かの痕跡もなさそうだ。
バカとしか言いようがないな、俺は……。
あり得もしない期待をしていたのか、それともついに幻覚を見たのか。
どっちにしたって笑えるよな。
「おい、サボり魔!」