LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺の二つ先のクラスにその姿はあった。
平均よりは低い背が輪の中心にいて、屈託なく笑ってる。
幼い頃と何ら変わらない笑い方。
俺の前じゃ、雅臣はあんな笑い方もうしない。
俺だって同じだ……。
俺は笑うことすらできないけど。
その瞬間、雅臣と視線が交わった。
軽蔑するような瞳を向けられ、俺は黙ってその場を去る。
……昔はこんなんじゃなかったのにな。
幼い頃の俺等には絶対想像できないことだろう。
だって、雅臣はかけがえのない親友だったのだから――。