LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺はたてた両膝に顔を埋めるように蹲った。
傷口に塩を塗られたように、心がヒリヒリと痛む。
苦しくて、無理に押し込んできた痛みに塗れた想いが、今にも決壊しそうだ――。
それを必死にせき止めるために、痛くなるほどに唇を噛み締める。
けれど、この想いからは何をしても逃れることができないんだろうか……。
机の上には逃れるように消費したノートの山。
取りつかれたように勉強して成績は上がったが、俺がしたかったのはそんなことじゃない。
結局、一生逃れられはしない……。
拒絶しても薄れていく記憶と、濃くなる苦しみの中で生きていくんだ。