LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺は窓についた水滴が流れゆく様を見届けながら、マイペースに鞄に荷物を詰めていた。
「のそのそしてないで行くわよ!」
鞄を無理矢理奪い取りながら、どんどん歩いていく千秋。
何でこんなに強引なんだよ……。
俺は千秋に嫌気がさしながら、渋々後を追った。
「ねぇ、この間はちゃんと翠月ちゃんに会ったんでしょうね?」
千秋は俺に鞄を投げ返し、にこにこ笑いつつ威圧的に問い掛けてくる。
「くだらねぇ。他人の世話なんてやいてんじゃねぇよ」
わざわざ俺と錫代だけが会うように仕組みやがって……。