LOST MUSIC〜消えない残像〜
「ただ、辛いよ……。昔から誰よりも信頼してたあんたと絶交みたいになった雅臣みてんのは……、痛々しいよ……」
苦しげな声を上げながらも、千秋はスカートの裾をギュと握り、決して振り向こうとはしない。
一瞬垣間見えた、明るさに隠された心の影――。
そして、踏張るよう懸命に前へ向いている小さな体。
……どこからそんな強さが出てくるんだろう……。
ガキの頃からの想いを隠し続けて、小さい体で精一杯強がって……。
「もう、奏斗のせいで辛気臭くなったじゃない!早く行くよ」
ほら、またスイッチを押したように男勝りな千秋に戻る。
俺には到底できないことだ。