伝えたい想い 〜それでもあなたが好き〜
「次に来てくれた時に教えるよ」
やっぱり。
今言わないという事は、教える気が無いという事。
複雑なアドレスなら覚えていなくても仕方ないけれど、番号ならわかると言っていたのだし。
その気があるなら口頭でも教えてくれれば、あたし自身の携帯に番号を打ち込む事はできるから。
でも、そんな風に言われたらちょっとでも期待しちゃうじゃんか。
「それじゃあ、今度来たとき楽しみにしてます」
がっかりしているなんて悟られないように努めて明るく返すと、彼は「ちょっと待ってて」と言って店の奥に行ってしまった。
彼の姿が見えなくなり、深く息を吐き出した。
所詮、こんなものよね。
いい出会いなんてそうそう転がっている訳でもないし。
「お待たせしました」
少しして戻ってきた彼の手に握られていたのはいくつかのお菓子。
「はい、これ」
「ありがとうございます」