伝えたい想い 〜それでもあなたが好き〜
やっとの思いで階段を上りきっても、お賽銭箱までまた行列。
なんとかお参りを済ませておみくじを引こうと思えば、それも長蛇の列。
もう2人で顔を見合せて笑うしかなかった。
「うちの会社の社長は大吉出るまでおみくじ引くよ」
「マジ?それってある意味凄くない?何回くらい引いたら大吉出るのかな?」
やっぱり経営者ともなるとそういうものなのだろうか。
確かに凶なんて出たら縁起が悪いし、もう一度引きたくなる気持ちもわからなくもない。
漸く順番が来て、おみくじを引いてみるとあたしは末吉でケンジは小吉。
「ねぇ、小吉と末吉ってどっちがいいの?」
そういえば大吉が一番良くて、凶が悪いということは知っているけれど他はよくわからない。
「さぁ?俺もわかんないや。ま、どっちもあんまり変わらないんじゃない?」
「それもそっか」
中身を確認し終えたおみくじは持ち帰っても捨てるに捨てられなくなってしまうので、すぐ近くにある木に結び付けた。
神社に何本かある木には所狭しとおみくじが括り付けられていて、それはもう葉っぱよりもおみくじの方が多いんじゃないかというくらいだ。