伝えたい想い 〜それでもあなたが好き〜
「あ、あの人格好いい」
「え?どの人?」
身長は170cm位で明るい色の髪。
歳はあたしと同じ位に見える。
「あー。かつけんね。勝間健司」
そう言って愛美が先程広げた名刺の中から彼の名刺を選んで、あたしに手渡した。
「へぇ……。何歳なのかな?」
受け取った名刺を眺めながら、何気なく言った台詞だったのに。
その一言によってあたし自身がこんなにも変わってしまうなんて、この時は思ってもみなかった。
「そこまでは知らないよ。聞けばいいじゃん。すいませーん!」
「ちょ……ッ、ちょっと待ってよ……!」
そんなに大きな声で呼ばなくてもいいのに。
店内はただでさえ混んでいて忙しそうなのに、そんなくだらないことで呼び付けたら迷惑なんじゃ……。
「注文ですか?」
笑顔でやってきてくれた彼にバツが悪くなり俯くあたし。
それに構わずに愛美は彼に先程の質問を投げ掛ける。
「ううん。かつけんって何歳なのかなーって思って」
「え。俺の歳?23だけど……」
頭に疑問符を浮かべながらも答えてくれた彼はあたしの1つ上だった。
「そうなんだ。ねえ、彼女いるの?」
目的は達成したはずなのに更にそんな質問をぶつける愛美に少し驚いたが、気にはなるので黙って彼の答えを待つ。