空っぽなあたしとヤンキーな彼
第一章
空っぽになったあたし
キィィィィィ―――
車の急ブレーキの音。
それが、唯一頭から消えない。
目を覚ませば、心電図の音のがうるさくて頭に響いた。
息もしにくい…
「未来!目が覚めたのねっ…よかった…」
横には涙を流す、女の人。
この人は誰?
ここはどこ?
…何も、分からない。
数分後、白衣を着た人が部屋に入ってきた。
「良かった。意識が戻って…ここがどこか分かるかい?」
あたしは首を振った。
「じゃあ…キミの名前は分かるかい?」
名前…?
「あたしの名前は…」
あれ…
言えない…。
そっか…
分からないんだ…。