零才塔
「ほぉ……これは懐かしい」
少女に連れられ案内された今にも崩れそうな小さな小屋には老人が一人。
「このペンダントを知っているのですか?」
「うむ。いつか来た勇敢なお方のものに間違いない」
主守様が?ここへ来ていた?
「教えていただけませんか?私達守人は街へ戻ると記憶を失います。ここは一体何処なのでしょうか?」
そういう彼の言葉を遮り老人は恭しく尋ねた。
「ちょっと瞳を見せてはくれないか?」
先程少女がした様にまた、老人も……瞳を真剣に見つめた後、今度はじっくりと上から下へ、そしてまた頭の先へと視線を戻す。
「なるほど。別にアジュの瞳を信じてない訳じゃなかったのだが」
「なかなかでしょ?」
アジュと呼ばれた少女は鼻をこすり嬉しそうに微笑んだ。