零才塔
「失礼。我々は守人をなったお方から、この世界の全てを見ているのです」
「それは一体どういう事です?」
自分の姿から……老人や少女は何かを感じ取っているのだろうか?
「世界は荒れているようです」
「世界が?だって街はいつも通り……」
いや、一つだけ異変があった。いつもやって来る島からの定期便が滞っていたっけ?
しかし、そんな事は海がシケていればたまにある事。
「いやいや、貴方のその両眼に映るものではなくてもっと広い世界が我らには見えるのです」
「アナタも見て行ったらいいわ」
そう言って少女が取り出したのは大きな水の入った球体。どうやって水を入れ、そして閉じたのだろう?
少なくともミズキのいる世界ではありえない技術であろう事だけは分かった。
「一つだけ教えてください。私が……これを見るのは何回目なのでしょうか?」
「この球を使って見るのは初めてじゃな」
初対面……という事だろうか?分からない事だらけでこんがらがってしまいそうな頭を一旦停止させ、今はその球体へ意識を注ぐ事に専念した。