零才塔



「じゃ、行くよ?」



アジュの掛け声で、ぼんやりと……何処かの風景へ、球体の中は変化していく。



黄土色の荒れ果てた大地。そして、そこに並ぶ見たこともない戦闘兵器。



どこかで見たような風景なのだが思い出せない。後ろの方に見えるのは……ひょっとして、宮殿!?



「いや!!、そんな筈は……」



宮殿のあった辺りは一度しか行った事はないが、緑に溢れ実に気持ちの良い場所だったと記憶している。



これではまるで……戦争ではないか!!



「さぁミズキ。これを見てどう思う?」



「こ……これは、諍いなのですか? 事実なのですか?」



老人は悲しそうに首を縦に振った。



「では止めなければ!他の守人はどうしたのです?」



もし、この事実を知っていたとしたら……私だったら迷わず宮殿へ出向くだろう。もちろん記憶が残っていれば、の話だが。



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