零才塔
老人の言った事は半分分かるような気もするし、半分は曖昧なままなのだが……今関係ないと言われてしまえば仕方が無い。
どうして12ヶ月も戻るのにかかるのか、腑に落ちない点は多々あるのだが、ここは話を続けて貰う方が良いだろう、と判断した。
もしも、あの光景が事実だとしたら一刻の猶予もない。そんな気がするからだ。
「ミズキが最後にこっちの世界へ来た時を境に世界は荒れた」
「つまり、私達にはずっと荒れていく姿が見えていたのよ?」
さて……他の守人が森林へ落ちたと言うのならこの二人は何処でそれを見たというのだろう?
「あぁ、遠くて見えないでしょ?って?それが森で感じた世界がこっちの球体には映るんだなぁ」
……通常ではありえない、そんな答えもありえそうになって来てしまうから不思議である。
「それを見ていて見過ごしていたのですか?」
「いや、君達守人が最後の審判を下すのだ。平和な世界ならばそれを維持していく約束を。不穏な世の中であればその世界への審判を」
「つまりは……この宮殿の有様を見て、それをどうしたいか、と言う事ですか?」
満足気に頷く老人に合点のいかないミズキ。
「では、先の守人達は何故止めなかったのですか?」
背中に……嫌な汗が流れるのを感じながら、恐る恐る聞く。
その答えは……。