零才塔



なんて事!!



「それでは、祈りは?新しい守人が見つかったのですか?」



焦るミズキの言葉に主守は力なく首を横に振るだけだった。これまで祈りを怠った事は無い。



それなのに何故……悪寒が走る。



過去の記録を漁ってみても祈りが途切れた事も無ければ、それが何を意味するのか……当然そんな記載もない。



それ以前に、主守の代であってもこの祈りの伝統が何故続いているのか誰も知らないのだ。



「ではもう12ヶ月……誰も祈りを捧げていないのでしょうか?」



「……そうかもしれないし、あるいは祈りの後に消えてしまったのかもしれん」



ミズキまでも消えてしまえばこの街から、いや世界から守人はいなくなってしまう。



何なんだ?……この嫌な気持ちは。



12ヶ月前と今、街は記憶の中にある昔のものとかわらないようにミズキには見えた。



それとも……目に見える変化とは違うものなのだろうか?


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