零才塔
「こんな不思議な模様の扉なのか」
思わず口にするがおそらく同じ台詞を吐くのは7回目なんだろう。両開きのその扉は力を入れなくても簡単に開き彼を招き入れた。
扉の向こうには……広がる円形のホール。外側へ向けて更なる扉が見える。
(何の為だ?)
この扉を開けたとして……その先には何もない筈。外壁に沿って作られた4つの扉。開いたとしても、落ちてしまうのではないだろうか?
しかし、だとしたら……以前の自分はここから一体どこへと飛んだのだろう?
扉の横にはそれぞれ小窓があり、外の世界を見てとれる。とは言え暗い中である。3つの窓からは深い森が見え、1つの窓からは小さな湖が映った。
「さぁ選びなさい」
突如響いた声に身を翻すとそこには青装束の影。
「誰だ?」
「君と会うのは7回目だよミズキ。他の仲間を助けたいんだろう?さぁ、早く選ぶんだ」
「それはどういう……」
「さぁな」
円形……円形……慌ててペンダントを引き出し裏を観察する。
円の端に書かれたこのギザギザはおそらく階段だろう。と、言うことはこの切れている先は……湖の方角?