重なる平行線
――ピッ

『うおっ』「ほぇ」

ピピッ ピッ

何かしらの音が一定のリズムを刻んで受話器の向こうから伝わってくる。

「え 何 今にも心拍数切れそうな音が聴こえるんだけど」

びびるわー。

―ピッ ピッ

『あー…、違う違う。充電切れかけてる音。やっべ…充電器どこやったかな』

「乙女っぽい声出しちゃったじゃないか。ジャマイカ!」

『今の乙女っぽい声だったのか。』

ジャマイカはスルーの方向で。

『あーれ。どこだー』ごそごそ探してんだろう様子が聴こえ『でておいでー大丈夫だよ~怖くないよ~ここかなー』きめぇ。
ピッピッピッ

心なしかさっきよりテンポが速くなっているような。

時計を見る。
あ、もうこんな時間かぁ。

「水貴、私そろそろ寝るから電話切るよ」

『ん、おう!じゃーな。先に俺は行ってる』

「あぁ。決勝戦でまた会おうぜ」

打ち合わせ無しで謎の挨拶を交わし、これにて御免と電源ボタンを押、

『あ ちょい待ち。俺言うことあったんだ』

「何?」

『お疲れ。』

その言葉を最後に、今度こそ電話は切れた。充電がなくなったんだろう。

「………。」

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