重なる平行線

事件後二日目

駅前近くの喫茶店｡

渡貫さんとの待ち合わせ場所は以外にも綺麗な所だった｡

洒落たドアを押して中に入れば､カランコロンとベルが鳴り客である私を歓迎してくれた｡

実を言えば、喫茶店なるものに入ったのは今が初めてであり、少なからず緊張を覚える｡

店内を見渡すと目が合った店員さんに軽く会釈されたので、こちらもぎこちなく会釈を返す｡

空いていた窓際の席に座って、コーヒーなるものを注文する｡
適当に注文しちゃったけど、すごい苦かったら嫌だなぁ…｡


今は10時｡

待ち合わせ時間の20分前だ｡
…少し早く来すぎたかもしれない｡

さすがに平日の昼前となると、客は少ない｡
奥の方に男性が二人ほど、優雅にコーヒーをのんでいるぐらい｡

店内にはうるさくない、むしろ心地いい音楽が流れている｡


ゆったりと背もたれに背中を預け、運ばれてきたコーヒーを一口飲む｡

…苦い｡
けど結構美味しい｡
だがそこがいい!ってな感じだろうか｡