Don't a hero
「賢吾くん…。君は謎の連続大量殺人の話を知っているかい?」
謎の連続大量殺人…。
その言葉はニュースで嫌になるほど聞いている。
確か、日本全国で一斉に殺人が起こっているとか。
しかもその殺人は広範囲で行われており、何らかの組織の仕業かもしれないと噂されている。
殺人に使う道具は日本には存在するとは思えない鋭利な刃物や、エリイアンの体についているようなベトベトがついているロープ状のものなど…
警察も必死に調査しているが、犯人はいまだ捕まっていないという。
「はい。よくニュースでやってますよね。それがどうかしたんですか?」
「実は、俺はその事件に協力している内の1人なんだ。その中でも、極秘プロジェクトを担当していてね…。」
彼はさっき来たアイスコーヒーをストローでかき混ぜながら話を続ける。
「この事件は、実はただの殺人事件じゃない。それは君も分かるよね?」
彼はこちらを見ながら微笑んでいる。
俺は無言でうなずく。
「この殺人事件はどこかの組織によって行われていると表向きには知らされている…。」
『ん…?表向き…?どういうことだ?』
俺は彼の話に完全に食いついた。
彼は話を続ける。
「しかし、それは日本の国民、また、世界の国民を混乱と恐怖におとしいれないためのカモフラージュに過ぎない。本当の理由…知りたいかい?」