Don't a hero
彼の携帯が鳴った。
恐ろしくナイスタイミングだ…。
「はい?あぁ。分かりました。もう少し待って下さい。終わり次第そちらに向かいます。」
携帯を耳からはなし、電源を切っている。どうやら、話を途中で邪魔されたのが少し嫌だったらしい。
「ごめんね。話、続けるよ。」
いよいよだ…
悪の組織じゃないとしたら、一体誰が…?
彼は俺を見つめる。
「実は殺人犯は…
地球外生命体…つまり、分かりやすく言うと、エイリアンのようなものなんだ…。」
「えっ…?」
つい、間抜けな声がでてしまった。
「ちょっとまって下さい!本当にそんなものが実在するんですか!?第一、エイリアンなら、見た目でばれてしまうから、すぐみんなにひろまってしまうんじゃ……。」
「驚いたと思うけど、全て真実…。信じるか信じないかは君次第だよ、賢吾くん。」
俺は信じられなかった。しかし、彼の目は嘘をついているようには思えなかった。
「あと、そのエイリアンの姿形については、また今度話そうと思っている。ヒマがあれば、いつでも電話して。」
そう言うと、彼は紙に書かれた電話番号を渡した。
「こんな長くごめんね。賢吾くん、用事あるんだよね?付き合ってくれてありがとう。俺もそろそろ戻らなくちゃ。じゃ、連絡よろしくね!次会う時には全てを話すよ。」
そういうと、彼は席を立ち、会計を済ませ、行ってしまった。
俺はしばらく、彼に渡された番号を見つめていた。