Don't a hero
10分程度経つと、ファミレス内に黒ずくめの怪しい男たちが5、6人入ってきた。
軍隊のように、みんな同じ動きでこちらにむかってくる。
ファミレス内は、みんなが少しザワついている。
黒ずくめの軍隊は、ついに俺の目の前まできた。
すると、その中のの先頭に立つガタイのよい男が、ゆっくりと口を開いた。
「君が…千見寺 賢吾くんかね?」
男は無表情のまま、低い声で言った。
俺は男の圧迫感に少し圧されたが、平常心を保ち、「はい。」と答えた。
男は暫く黙り、俺をじーっと見つめていた。
まるで、猫に壁まで追いつめられたネズミのような気持ちだ。
すると、男は重い口を開いた。
「申し遅れました。私は福留 葉瑠(フクトメ ハル)と申します。隆様に頼まれ、あなたをお迎えに来ました。我々の車にお乗りください。」
それだけ言うと、後ろを向き、店を出ていってしまった。
俺はとりあえず男達について行き、暗い路地に停めてある黒い車に乗った。
見るからに高そうな高級車だ。
車の中は広く、どうやって置いたのか、真っ赤なソファーもある。そして、所々に金銀や沢山の種類の宝石があしらわれていた。
車の見た目からは想像がつかないほど、中は豪華だ。
「賢吾さま。こちらにお座りください。」
一人の黒ずくめの男が優しい声で一番奥のソファーに誘導してくれた。
その男は、黒ぶちメダネでどちらかと言うと、細身。簡単に言うと、“優等生”というのか…。そんな感じがする。
おれはその細身の男にペコリとお辞儀をしてソファーに座った。