Don't a hero
「はー!うまそ〜。」
俺は、特大パフェを下から上までじっくり見た。
「賢吾〜!ついに来たなぁ!」
雅樹も目を輝かせている。
「では、只今キャンペーン中の特大パフェ。20分以内に食べれば賞金がでます。」
店員の説明も、今の俺達の耳には入らなかった。
今は賞金のことより、早く食べたいという気持ちが圧倒的に勝っていた。
「それでは…。Lady Go!」
店員がストップウォッチを押すと同時に、俺達はパフェに食いついた。
10分経過――
「くそっ!意外と手強いな。」
俺は言葉とは裏腹に、パフェをほおばり続ける。
しかし、雅樹はそうはいかなかった。
「も…もぅヤバい…。」
雅樹はスプーンにクリームをのせ、一口食べるとテーブルに顔をつけ、ぐったりと倒れた。
「はぁ!?もう少ししかないんだから頑張れよ!」
俺は食べる手を休ませない。
「だめだ…。賢吾、もう腹パンパン…。」
雅樹は死にそうな声で答え、テーブルに顔をうつぶせにしたままだ。
「ったく、しょーがねーなー!」
俺は笑顔で特大パフェを食べ続けた。
5分後――
「ぷはー!!食った食った!」