Don't a hero
後ろを振り返ると、全身黒ずくめの男…
長身で髪も黒。黒のスーツに黒のワイシャツ。顔は帽子を深くかぶっており、あまりよくみえない。
怪しく思い、少し警戒しながら返事を返す。
「なんですか?」
すると黒ずくめの男は少し微笑み、俺に近づいてきた。
「君、高校生だよね?なんでこんな時間にここにいるの?学校は?」
黒ずくめの男は、口元を緩ませながら問いかけてきた。
『なんだコイツ…。もしかして、学校のヤツか?そうだとしたら、かなり面倒だな。』
俺はまた警戒しながら答える。
「今日はちょっと用事があって…。早く帰らなきゃいけないんです。」
そう言うと、黒ずくめの男は、
「へー。そうなんだ…。急いでる時にごめんね。実はこっちも急ぎの用があって…。」
俺に急ぎの用?
どう考えても知り合いではないし、怪しすぎる。
「少し…。話聞いてもらえる?」
俺は迷った。
でも、どうせ断ったところでヒマなのは変わらない。たまには知らない人と話す方が刺激があってなにかと楽しいだろう…。
俺は黒ずくめの男の話を聞くことにした。