根暗ストリート
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
「戻ってこい!」
「還ってこい!」
「お前には生きる道しかないんだ!」
「死なせねーぞ!」
人工呼吸を施す、救命士の傍らで、泣き叫ぶ少年。
イジメのきっかけを作った張本人だ。
イジメるつもりなんか毛頭なかった。
ただ…好きだったから。
小学生の時に好きになり、気を惹くために意地悪をした。
そこからクラス中に波及した。
こんなはずじゃなかった。
彼女が好きなだけなんだ。
「えみー!俺、ずっとお前のこと好きだったんだ!
気を惹きたくて意地悪したんだ。
クラス中に広がった時に、引っ込みつかなくて…
ごめん!本当にごめん!頼むから死なないでくれ!」
「もう起きてるよ。全部聞こえてたよ『生きる道しかないんだ!』とか『お前のことが好きなんだ!』とか」
「ごめんね」
『ごめんな』
これからは二人だから、迷っても怖くない。