この恋路に幸あれ
梓Side
「はぁ…」
やってしまった…。
心愛との言い合いはいつものことだが
こんな風になるのは何気に初めてだった。
折角元気付けようと頑張ってくれたのに
自らが地雷を踏んでしまった。
そんな落胆する俺の目の前に
取り残された心愛の作ったホットケーキ…。
「そのケーキが
逆チョコ(ケーキ)のお礼だからね~」
そう言った心愛。
冷静になって考えれば
すぐに分かることだった。
俺の為に作ってくれたということが…。
フォークを持ち
冷め切ったホットケーキに突き刺し
ケーキを食べる。
「…うまい」
水姫の言ってたことが
食べてみてやっと分かった。
綺麗に食べ切り
せめてものお詫びとして洗い物をし
食器を片付け店を跡にした。
出て来たは良いものの…
家に帰る気にもなれず
フラフラしながらただただ歩いた。
罪悪感と申し訳なさが
募りに募って脱力する。
そして行き着いた場所は我が家。
嫌っと思っていても
やはり帰って来てしまうのが宿命。
心愛を傷付けた罰だと覚悟し
姉貴たちに謝罪することにした。