この恋路に幸あれ
「客に向かってその態度かよ?」
「アンタなんて客じゃないわよ!
ケーキ泥棒よっ!!」
店に来ては
売り物のケーキを"タダ"で食べ
帰っていく。
私の親が友達の息子だからって
アズサには凄く甘く
会えばいつも売り物なのに
ケーキをあげている。
実の娘には厳しいくせに…。
「今日はちゃんと買いに来ただろ!」
どうやら
アズサのお姉ちゃんs(ズ)から
パシられているらしい。
それを聞いた私は
笑わずにはいられない。
「一体、何やらかしたのよ?」
長年?の付き合いからか
顔を見れば何となく
相手の思ってることが
分かるようになってきていた。
「別に、」
笑いを堪えながら
店の店員らしく注文を聞く。
「チョコケーキ、2つと1つな」
バレンタインに
やっと売れるチョコケーキたち。
アズサのお姉さんsは2人なのに
何でケーキが3つ…?
「別々でいいの?」
「ああ」
チョコケーキを
箱に詰めレジへと運ぶ。