この恋路に幸あれ




「1050円ね」


「ほらよ」


最初に売ったのが
アズサってのが
私的には気に食わないけど
売れて良かったとホッとする。


箱を1箱だけ持ち
帰ろうとするアズサに
「ちょっと忘れてるわよ」っと呼び止める。


扉を開け振り返りながら一言。


「今年もあげる奴が居ない寂しい心愛に
俺から逆ギリケーキやるよ」


サラッと言われた言葉に
苛立ちを覚える。


「これウチのケーキだし、
余計なお世話よー!!」


怒鳴り返した時には
既にアズサの姿はなかった。


逃げ足が速いとは正にこのこと。

怒ってるはずなのに
ちょっぴり嬉しく感じた。



< 3 / 19 >

この作品をシェア

pagetop