【完】好きじゃない。
あたしは、圭くんと毎日登下校をしている。
付き合ってんじゃないか、なんて噂があるらしいけど、
そんなの大嘘。
あたし達はただの幼なじみ。
圭くんのことだって、男として意識したことはない。
そりゃ、圭くんはカッコイイ。
普通に一緒に帰っていていも、何回かスカウトされている。
すれ違う度に、みんな振り返る。
「…なぁ」
「ん?」
「佳奈は大学、どうすんの?」
「んー国立の文系いこうかなって」
「夢とかあるっけ?」
「ないよ。だから、無難でしょ?」
「…そっか。佳奈はさ、もう少し…素直になってもいいと思うよ」
「…」
圭くんが、あまりにも切なそうにいうから、何も言えなかった。