【完】好きじゃない。
「目指してるの、看護科じゃん、あたし」
「ぁ、うん…」
「L大もいいんだけどね…先生が”F大狙える、って…。
F大って偏差値高いけど、看護科は有名なところだし…。
夢を叶えたいんだ」
「…」
「さっきさ、佳奈は夢がないって言ってたじゃん? その言葉聞いて、夢があるあたしは、前に進まないとな、って。決めたのはほんと最近。考えてたのは、もうちょっと前だけど…」
「…」
「今まで、話さなくてゴメン。
ねぇ、佳奈…。夢ってさ、なくていいと思うんだ」
「ぇ…」
「無理して見つけなくていいの。あたしはね、夢って未来を想像するための材料にしかないと思う。夢がなくても、未来を築ければいいと思うんだ」
「…」
「佳奈には、幸せな未来を想像して欲しい。築いて欲しい。そのために、夢が必要かもしれないけど、あたしは、”夢”じゃなくて、他に…大事なものが一つあるんじゃないかな」
「大事な…ぁ」
律は、優しく笑った。
「ガンバレ、佳奈!!」
そう無邪気に笑う律は、
真っ暗な中でもわかるくらい、キラキラしてた。