君は桜
プロローグ
君を表す言葉を探してみた。
空、というには広すぎて。
海、というには深すぎて。
宇宙、というには大きすぎて。
恋人、というには小さすぎて。
命、というには儚すぎて。
――――そうだ、君は桜。
春になると、ひどく美しく
散りゆく姿は、ひどく悲しく。
それなのにひどく凛々しく、
誰からも愛される。
私が君に出会ったのは、まだ寒い冬。
それなのに君は
どうしようもなく
美しかったんだ。