雨 傘 物 語
そんなあたしの願いが通じたのか、
音もなくカーテンが開いた
ステージの端から、
彼の姿が現れる
パチパチと遠慮がちに拍手が響く
拍手を忘れるくらいに、
目の前に立つ彼にドキドキして
なんだかクラクラした
今、死んでもいいと思った
この先、真っ暗闇でもいいと思った
それくらいに……
彼が大好き
『まばらな拍手ならやめて~』
人懐っこい彼の声色
彼の声色には、関西弁がよく合う
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