17-セブンティーン-
窓の向こうに
下半身が消え、上半身が消え、ポニーテールが消え、
青空だけが残った。
彼女のドロップアウトを初めて目にしたとき
俺はこれが本当に《当たり前の日常》になるのかと、心の底から疑った。
『1秒でも早く出て行きたいみたいでさ。
あの窓の下、チャリ置き場だから着地可能なんだけど、廊下の窓から飛び降りようとしたら、下は何もないからケガすんだよ』
と笑いながら話していた新しいクラスメイトが、とても遠く感じた自分がいた。
だが今、数ヶ月前の疑問は、俺の中で形を変え、はっきりとした答えを得ることなく
それでいて、答えを求める風でもなく、勝手に解決されようとしていた。
先ほどの彼女の登場と退場のおかげで、すっかり頭は冴えている。
黒板には《基本的人権の尊重》。
『みんなには苦手なものってあるかい?』
俺は左腕をぎゅっと握った。
遠くで雷が鳴っている。
本格的に梅雨入りのようだ。