17-セブンティーン-
「俺も、名前を外したからだって自分を責めないから」
俺はクラス委員を見た。
彼女はショックだったはずだ。
でも「パネルを見たい」と言った。
なぜだ?
「特に俺は彼女のこと、何も知らないけど…信じようぜ、保坂さん」
保坂さんってどういう人だ?
俺の知ってる保坂さんって…
「保坂さんじゃない…」
「え?」
俺は、自分の言葉を確かめるようにゆっくりと言った。
「そんな人じゃない」
クラス委員は目を丸くしたが、ハハッと笑った。
「うん、間違いないな」
自分だけで解決してしまって、言葉が足りなすぎるってことはわかっているけど、
俺の中で生まれた感情は、
クラス委員には伝わったようだ。
知らないことの方が多すぎる。
でもこの根拠のない…
いや、これで充分だ。
そんな気がした。
俺は彼の肩を叩いた。
「ありがとう!ハルくん」
「…」
突っ込みを待っていたら、彼は笑いだした。
「俺を本能的に"モト"じゃなくて"ハル"の方で呼ぶ人間って数少ないんだ」
「へー、レアだね」
「家族、及び親戚」
「…」
次は彼が俺の肩を叩いた。
「思考回路が何となく似てんだな」
そして、どちらからともなく吹き出して爆笑した。
もうすぐ昼休みが終わる。