17-セブンティーン-
「俺たちのバスケ部が落ちぶれちまうぜ。なぁ何か言ってやれよ、克哉」
集団が後ろを振り返る。
克哉、と呼ばれたその人は携帯をいじっていた。
あ…あの人だ…!
夏休み前に賢とドロップアウトしてた女の先輩の彼氏!
長っ。
俺の中でこの先輩の肩書き長っ。
しかしその"克哉"と呼ばれた先輩は、他の3年と違ってかなり無関心のようだ。
「うーん」とか「そだねー」とか適当な返事をする。
携帯見たまま。
「おーい」
背後から声がして、振り返ると絶好のタイミングで賢が戻ってきた。
「集合!あれ?英治じゃん」
賢はまだ3年の姿が見えないようだ。
賢は指示を出そうと前に向き直り、口を開けようとして…やめた。
3年に気づいたようだ。
「どうも先輩方お揃いで」
賢は口元だけで笑った。
「新副キャプテンか、元気そうだな」
3年が、賢の前まで迫る。
カチャンッ!
携帯の閉じる音が響いた。
その音の先には、克哉センパイ。
さっきまで無関心そうな様子から一変、視線には刺すような強さがある。