17-セブンティーン-
賢と2人、静かな睨み合いが起きた。
そして克哉センパイは賢の元に来た。
どちらも視線を反らさない。
「コーチ頼むって本当か」
「はい」
「どこの誰にだ?」
賢は一瞬、唇をきゅっと結んだ。
顔に《なんで答えなきゃならねぇんだよ》と書いてある。
「OBの方々です」
一呼吸おいて賢は続けた。
「うちの代まで、このバスケ部の汚点になったら困るんで」
賢の挑発的な発言に辺りは凍り付く。
3年のひとりが「テメェ」と詰め寄ろうとするのを、克哉センパイが止めた。
「汚点ねぇ…」
克哉センパイはそのひとことを噛みしめるように呟いて、1人笑いだした。
「大層なことだな。
そのおこがましさ笑われねぇように、せいぜいお前らのバスケ部を守りきることだ」
そして周りに「行こうぜ」と声をかけ、行ってしまった。
賢も振り返ることなく、何もなかったかのように
「練習するぞ」
とチームメイトたちに呼び掛けた。
賢の呼び掛けに、座り込んでたメンバーも威勢よく返事をし立ち上がった。