17-セブンティーン-
宇宙人は俺を一瞥したが、
後は完全無視で、黙ってパネルの前に立った。
なにコイツ、パネル見に来たの?
俺は、視線を窓の外に戻した。
ってか今日来てたのかよ…
「お前」
突然声をかけられて、あからさまに肩をびくつかせてしまった。
なんだよ、と振り返ろうとしたとき
「お前わかってたんだろ、保坂さんじゃないって」
「…」
一瞬、話が見えなかった。
なにコイツ…
なんの話を口にしてんだ?
さっきから驚いてばっかりだ。
宇宙人が教室に来たこと
俺に声をかけたこと
そして保坂さんの名前が出たこと
「なのに庇いもしなかった」
…なんで
なんでコイツがそんな話を口にするんだ?
思考回路が止まりつつあった。
戸惑いから来るショックなんだと思う。
そして宇宙人はゆっくり俺の方を向く。
「お前、最低なやつだな」
頭を殴られたような
心臓を掴まれたような
耳鳴りがしているような
目の前が真っ白なような
「じゃあお前はどうなんだよ」
魂を奪われたような衝撃の後に
俺を襲ったのは
「お前は《最低なやつ》じゃねぇのかよ」
煮えたぎるような怒りだった。