17-セブンティーン-
確かに、いまいちスイッチが入りきれないこの時期は、どうもだるい。
まだ暑さは残るし、体育祭大変だったし。
しかし確実に時間は過ぎて、いつの間にか試験前1週間を迎えていた。
バイトから帰っていた夜。
家の前で影が動くのを見た。
一瞬固まる。
この辺りはボロアパートばっかりで街灯も頼りなく、
慣れはしたもののこんな時間は夏でも当たり前だが真っ暗だ。
「英治?」
その声に緊張が疑問に変わる。
「翔太?」
近づくとやっと姿がはっきりした。
「お前いつまで待たせんだよー!
ってかいつまで働いてんだよー!」
畳み掛ける勢いに飲まれつつも
「じゅ…10時半?」
不必要な返答な気がする。
「10時半って…今何時だと思ってんだよー!」
「11時半?」
「…ってかそういう意味じゃねーよ!
テスト前なのに働いてんじゃねーよ!」
「は…はぁ」
訪ねてきた理由は知れないが、
相当ビビりながら待ってたんだな、ということはよくわかった。