17-セブンティーン-
「こんなとこじゃなくて中で待ってればよかったのに…」
「…」
「で、なに?」
翔太は黙って、ぺらっと1枚のプリントを差し出す。
「混ざってた」
俺も黙って受けとる。
そしてじぃーっと翔太を見る。
「ちげぇよ。1回電話したんだぞ?陽介がまだって言ってたし
里香ちゃんも寝てっかもなーって思ったんだよ」
…それは俺の欲しい答えではない。
こんなプリントくらい、明日学校で充分だ。
真っ暗な中、ひたすら待って手渡しするに値しないプリントだ。
「…俺は『助かった、ありがとう』って帰っていいのか?」
「…」
「…どうしても今日じゃないとマズい用事か?」
翔太は口を一文字にきゅっと結んでから
「いやー…うーん…」
と言葉を濁らせて、適当なところに腰かけた。
俺もそれにならう。
翔太は素直なやつだが、こう不器用なところがある。
話したいことがあると、こうして取って付けたようなきっかけをわざわざ作って、わかりやすいSOSを出す。