17-セブンティーン-
わりと付き合いの長い俺にさえ、切り出すのにワンクッションいる。
昔からこの流れは変わっていない。
翔太はこれが1番自然だと思っているのかもしれない。
別にそれはそれでいい。
話してくれるうちは、結局どんな流れでもいいのだ。
「俺さ」
「うん」
小さなため息が聞こえた。
「部活辞めようかと思ってる」
それはあまりに突然だった。
俺はバッと翔太の方を見て、
自分を落ち着かせるようにまた正面を向いた。
「…いつから?」
「結構前」
「じゃあ…ずっと考えてたってこと…なのか?」
ジャリッと靴と砂の擦れる音がした。
「うん」
俺は膝の上に肘を付き、前屈みの体勢をとった。
そして指先を絡めて、ぎゅっと握った。
「バスケ部は部活いつまでだっけ」
「明後日」
「なんでこのタイミング?テスト明けは?」
「テスト明けはすぐ地区予選だから」
テスト休みに入る前に、答えを出すつもりのようだ。
的確な返答が、翔太の本気具合を物語っている。
意外だった。
賢の気だるさには気づいても、
翔太のこんな思いまでは気づけてなかった。