17-セブンティーン-


ここで星空が眺めれれば格好もつくが、

俺の狭い世界に広がる夜空は、極めて窮屈でただただ真っ暗なだけだ。


翔太はきっとまだ迷っている。


すると翔太はすくっと立ち上がった。


「やっぱり出直してくる」


俺は翔太を見上げた。


「なぁ翔太」

「ん?」

「お前辞めたくないんだろ」

「…」


俺も立ち上がって、砂をぱんぱんとはたいた。


「無理すんな」


俺の言葉に、翔太は力なく微笑む。


「辞めたくない、でも…」


意味深な「でも…」の先を
今の俺には読むことは出来ない。


この数分の間で、見たことのない翔太の表情をいくつ見ただろうか。


目の前にいるこの少年は
本当に俺の幼なじみの翔太なのか?


そんな感覚に陥るくらい
翔太が漂わせている雰囲気は

切なくてもどかしくて、俺の胸を締め付けた。


「悪かったな、英治。遅いのに時間取らせちまって」

「気にするなよ」


じゃあな、そう言って翔太はあっさり帰っていった。


初めて会うような翔太の心を
俺は開くことが出来るのだろうか。

抱えている重石を、少しでも軽くしてやることは出来るのだろうか。




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